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ママ向けの“子・職接近”ワーキングスペースが増加中?

待機児童の問題で保育園にわが子を入れたくても入れられない。入園先のめどが立たずにやむを得ず会社を辞めた。一度、会社を辞めたあと託児所を見つけるのが先か、勤め先を見つけるのが先かで板挟みになる方が非常に多いなか、そのジレンマ解決に一石を投じるかもしれない動きがあります。

こどもを預ける場所と、働ける場所がひとつになったスペース。いわゆる企業内託児所のように「事後的に」用意された場所とは少し趣が異なり、こどもの近くで働きたい(働かざるを得ない)女性のワークスタイルをじゅうぶんに理解し、その実現のために可能な限り理想的なデザインが施されているワーキングスペースが昨今、創出されているのです。

こどもの行事の日には休むことができる働き方

IMG_9501 (2)ショッピングモールのにぎわいのさなかにあり、一見すると「職場」には見えないママスクエアの外観IMG_9528壁を一枚隔てた、扉の向こうにはごく普通のオフィス風景が。内部が見えないようにブラインドがおとなの目の高さに施されています。

日本初、「託児機能」を併せ持つワーキングスペース「ママスクエア」が三井ショッピングパーク ララガーデン川口内に4月27日にオープンしました。

親子カフェを2004年に創業、これまでに10店舗へと拡大させた実績のある同社代表の藤代 聡氏が別会社を立ち上げ新たに手掛けるこのプロジェクト。そこには親子カフェの運営で培われたノウハウが生かされ、ワーキングマザーが抱える課題解決へのアプローチが示されていました。

待機児童の深刻さは川口市も例外ではありません。でも働きたいという希望や意欲はあるものの、保育園にわが子を預けて今すぐ「週5でがっつり」という働き方はためらわれる。さらに、こどもが2人いる家庭ではそういう傾向はより顕著に現れます。週3日だけ預けたいという方は、もちろん保育園の審査のポイントが低い。そんな方がここの門戸を叩いています。オープニングスタッフの求人には約300名もの応募があったとのことで反響の大きさがうかがえます。

IMG_9558ボールプールにプレイマット、キッズテントに大画面TVをコンパクトに凝集させ、こどもが長時間でも飽きずに過ごせるスペース。IMG_9544安全への配慮は言うに及ばず。しっかりと施錠されたエントランスは見た目にも安心感があります。
IMG_9552こどもの手が届かないよう高めに設置されたカウンター。厨房からはプレイゾーンの様子を見渡すことができるので、託児のスタッフに加えカフェスタッフの目も見守りに一役買っています。IMG_9543カフェにはオムツ交換室兼授乳室が隣接しているので、気兼ねなく利用できます。

同社の従業員が働くワーキングスペースを奥に、手前には右にカフェ、左に託児スペースを配したレイアウトでこちらももちろん従業員の方がシフト勤務で働いています。

30台のパソコンが設置され、現在はクライアントの受託業務、カフェ業務、こどものサポート業務をそれぞれが担当。働く時間帯も実にフレキシブル、14時で上がる方もいれば、いったんこどもを幼稚園に迎えに行き、ここに連れてきて夕方まで仕事をする方もいます。

親子カフェは業態、業務内容からママの応募が多かったのですが、みなさん就職活動をさんざんしたけれども、どこも受け入れてもらえなかったという方ばかりでした。面接の際に必ず「こどもが熱を出したときはどうされるんですか?」という質問をされ、こちらが「そういう場合は実家に預けます!」と返しても、「でも、預けられないときだってあるでしょ?」といじわるに聞き返されたり、そういう経験をお持ちの点が共通していました。働いてくださる女性はやはり時間的な制約が多く、子育てと仕事の両立が女性にとって難しいことを改めて実感しましたね。ママスクエアでは彼女たちの不安を解消できる理想的な職場を作ることが狙いでした。

たとえ企業の中に託児所があったとしても所在地が都心だとすれば、通勤のラッシュに幼い子を巻き込むことになりますのであまり現実的ではないですよね…。ここは宅地エリアにある商業施設ですので、通勤距離や時間が短く理想的な職住接近が可能です。「お昼休みにこどもと合流する」「午後は子連れ出勤」というような、柔軟な働き方が実現するのです。幼稚園は夏休み、冬休みは預かってくれませんよね? それだけでもう就職活動はあきらめるしかないんです。「夏休みは出れません」という人は採用されません、普通。ですので、普段はここで働いでこどもを送り迎えをして、夏休みはここ(託児所)を利用しますという方もいます。ここでは「こどもの行事の日には休むことができるライフスタイル」は決して珍しくありません。(前出の面接のエピソードのような)たいへんな境遇をともにして「お互い様」というマインドが共有できているので、こどもが急に熱を出すなど不測の事態でもフォローし合えるチームワークが自然に発揮されています。

保育園のメリットの一つに「親子が完全に切り離される」ことがあると思います。でもここでは、すぐそばにママがいることをこどもは理解していて、ワーキングスペースに入るときにママを諦めきれずにものすごい勢いでぐずる姿もしばしば見かけます。また、お手洗いが施設管内の共有利用でオフィスの外にあるため、こどもに見つからないよう“抜き足差し足”で用を足しに出る方もいたりして、可笑しいんですよ(株式会社ママスクエア開発本部ディレクター黒田康子氏)

2015年度内に都内で5店舗の出店予定があり、出店場所の提供などのサポートを三井不動産が、商業施設を数多く手掛ける大手企業の丹青モールマネジメントが出店戦略や候補地の選定を担当するなど、かなり本格的な動きとあって期待が集まります。

シェアオフィスにも「子連れスタイル」の波が到来しそうな予感

一方、コワーキングスペースにも子連れのユーザーに向けた動きが出てきました。月学制でオフィスを利用できる「オフィスwith KIDSスペース」が6月末に下北沢の女性のためのコミュニティatlya内にオープン。コ・クリエイションを掲げ共創の可能性を広げるatlyaらしい、新たなワークスタイル提案に注目が集まっています。

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育児休暇取得中、再就職活動中、会社員に比べ保育園の利用が難しいフリーランサーなど、さまざまなステイタスにあるワーキングマザーを想定したこのスペース。気になる利用料金は託児(9時~18時)付きのフリーデスクプランで月額16,000円~と、リーズナブルな設定。

スタッフが実際に「社内で1年間子連れ出勤」をチャレンジしてきた経験を踏まえ、単なるスペース提供に留まらず、キャリアの継続、キャリアチェンジに寄り添えるサービスに育てていきたい。(オフィスwith KIDSを運営する株式会社エモーヴ 代表 井尾さわこ氏)

キャリアチェンジを支援するための多様な養成講座が用意されている点もユニークです。たとえばヘルパー初任者研修、ライター養成講座、プランナー養成講座、ネイリスト養成講座、FP養成講座etc.今後、定期的に開催される予定なので、ご注目を。

そして、atlyaにおけるオフィスwith KIDS同様、従来からあるシェアオフィスにワーキングマザー向けのスペースやサービスを新設したケースとして話題となっているのがryozan park 大塚 こそだてビレッジ。41室のシェアハウスを構え、12のオフィスやフリーアドレス型オフィスを擁するRYOSAN PARKの7階がまるごと、こどもがいるファミリー向けに解放されています。広々としたキッチンと畳敷きのダイニングエリア、お昼寝と授乳用の部屋、おむつ替えなど家族用として特別にデザインされたトイレ、WI-FIももちろん完備、開放感がある屋上ガーデンまでも!

スペース名称のビレッジに込められた「1人のこどもを育てるのには、村全体の協力が必要」というメッセージ。こどもの親だけでなく、ここを出入りするさまざまなおとなが育児の喜びや苦労をシェアする。いわく「拡大家族」を作ることを視野に入れたコンセプトは先鋭的であり、一方で伝統的な家族観、コミュニティ観に根差しているとも言えそうです。

「やりがいのあるキャリアと母親になる喜びの両方を、同時に味わうこと」を当然のこととイメージしていた。共同経営者のレイチェル・ファーガソン氏はこどもの頃に抱いた自身の働く姿をそう回想し、それが現代のワーキングマザーの実態にフィットしていないことを察知しました。周囲の女性がそれを実現できない様子や、日本の産後の女性の働き方を目の当たりにして、やがてこのプロジェクトを構想することに。

「フルタイムで働く」「フルタイムで育児」。彼女がここで模索している“その間”にある働き方に今後も注目していきましょう。

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