バリバリ硬派の出版社から、キャリア女性向けの新雑誌がお目見え

1963年、TIME Inc.発行フォーチュン誌の日本語版として創刊されたプレジデント誌が昨年、50周年を迎えた出版社プレジデント社。わが国初の海外提携誌(ちなみに、an an がフランスELLEの日本語版として創刊されたのは1970年)として由緒正しい、ビジネス誌の草分けブランドを冠した新雑誌が11月7日(金)に創刊デビューを果たしました。その名もプレジデン・トウーマン

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発刊にあたって同誌は2014年を「女性活躍推進元年」と位置付け、 次のようなことばで産後の女性にもエールを送っています。

家事、出産、育児、介護をこなしながら、長く働き続けようとする女性を応援し、“働く喜び”を見つけるお手伝いができるように、「プレジデントウーマン」をお届けします。(編集長 今井道子氏)

6月にやはり歴史のある海外誌Forbes JAPANを創刊し、富裕層を意識したビジネス分野で出版攻勢をかける同社といえば、こうしたビジネス誌やゴルフ雑誌のALBA、美食家向けのdanchuなど、ダンディで硬派なメディアを擁する版元としておなじみ。つまり、男臭い企業文化がさまざまなコンテンツから濃厚に感じ取れるだけに、今回の女性誌発刊への興味は否が応でも募るところ。

中身はというと、確かなデータと豊富な事例に基づき、働く女性が置かれている境遇をてっとり早く俯瞰できる内容。雑誌ならでは、実在するワーキングウーマンのリアルな姿がふんだんに盛り込まれ、彼女たちのオフタイムの横顔やライフスタイルを垣間見ることができ身近に感じ、共感できる記事ばかりで構成されています。

“データで見る「女性の昇進」”という企画では、監修にあたった東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長の渥美由喜氏自ら「私は20年、ワークライフバランスやダイバーシティについて調査分析やアドバイスを行ってきましたが、たとえ低い目標数値でも、こんなに多くの企業がアンケートに応じたこと自体、意識改革が行われていることの表れで、『取り組みに本気になった企業がこれだけ増えた!』と感慨深い気持ちです」と、女性の積極的な登用に関心が高まっていることを実感。名だたる大手企業の実情について、これだけのアンケートを回収できるのはやはりビジネス誌の出版社としての信頼と実績ならでは。

ほかにも、“1000人調査でわかった! 女性管理職24時間のリアル”、“男性も必読! 1000人の「コワすぎる本音の本音」 働く女性の「理想の結婚、最悪の結婚」”と、いずれも大規模な調査から、今という時代の気分が鮮やかに浮かび上がっているのが印象的。

“30代からの「産めるココロとカラダ」”では卵子凍結、精子老化、妊娠力テストなど、当世妊活事情を完全網羅。ひとり目はもちろん、ふたり目未妊の女性にとっても気になる話題がフィーチャーされるなど、現代女性にとって働くことと家庭を築くことへのアンビバレントな心情も汲み取られています。

特に読みごたえがあるのは、『ワーク・シフト』『未来企業』などベストセラーを連発するいま、もっとも旬な経営学者のリンダ・グラットン氏へのインタビュー。彼女は「女性が働き続けることの大変さは日本に限ったことではなく、世界中の女性にとっての課題です」としつつも、日本の男性がもっと家事を負担すべきと警告、さらに日本企業の残業や長時間労働について「あしき習慣なのです」とばっさり斬り捨てる、歯切れの良さ。リンダ氏は日本社会が大きく変わるためのヒントとして次のように雑誌のなかで語っています。

「女性自身が要求していかなければ何も変わりません。社会全体で働き方を変えていくには、4つの鍵を動かす必要があります。「政府」「企業」「女性」、そして「男性」です。

女性は自ら意識改革を起こせばよいのですが、政府や企業を一朝一夕に変えることはできません。というわけで、まずは身近な男性にはたらきかけることから始めてみませんか?

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