彼の名は「香山ピエール」。フランス人音楽家の36歳。着せ替え人形リカちゃんのお父さんです。

1967年のデビュー以来、ロングセラーを誇り国内の玩具史にその名を刻む「リカちゃん」ですが、発売当初よりきめ細かな設定が話題となっていました。たとえばリカちゃんが142㎝の小学5年生、ママの織江は7月7日生まれでファッションデザイナー、ケーキ屋さんを営むおばあちゃんの洋子が56歳（お若い！）、リカちゃんには双子の妹がいるという具合に。“Teenage Fashion Model”を掲げ1959年にデビューしたマテル社のバービー人形が自己投影しやすいようにあえて設定をあいまいにしているのとは対照的です。

実はピエール“パパ”は誕生以来、不在がちで20年もの間ひと目にふれることがありませんでしたが突如、平成元（1989）年に復活発売。その頃の日本といえば銀行や郵便局など金融機関を皮切りに「週休2日制」がスタートし、働き方が見直されていた時代でもありました。

そして、当時から四半世紀を経て再びピエールにスポットライトが当たりました。厚生労働省が後援しているイクメン オブ ザ イヤー 2014の受賞という晴れの舞台です。

「最も“イクメン”の認知向上に寄与したパパを著名人より選定し表彰する」という審査基準からすると、やや唐突な印象がなきにしもあらずですが、それでも世相を反映するおもちゃが男性の育児を推進するきっかけ、話題のひとつになることはおおいに賛同できるところ。

10（トウサン）月19（イクジ）日の本件発表から1年間の育児休暇に突入したピエール。その様子は icon-twitter 公式ツイッターで随時、紹介されるとのことで興味津々。

ところで男性の育児休業ですが、平成25 年度雇用均等基本調査によると2.03％と女性に比べ遅々として取得率が上がっていません。

今年の4月には日本生命保険相互会社が男性の育児休業100％を達成したことがニュースとなったり、育児休業給付金が67％と引き上げられ、休業前の手取り賃金の8割までが支給されるようになったりと、少なからず追い風が吹いているものの、子育てのために休みを取る男性がまだまだ少数派であることは否めません。

2002年に打ち出された少子化対策プラスワンでは10％、安倍政権下では2020年までに13％と目標が設定されてきた男性の育児休暇取得率は引き続き、喫緊の課題と言えそうです。

ピエールにエールを！

ちなみに、洗練されたワーキングマザーの愛読誌VERYとのコラボ商品も発売されたばかりで話題です。