イタリアはベネト州にあるユナイテッド・カラーズ・オブ・ベネトンの本社。そのほど近くに、社員のための保育施設ポンツァーノ・チルドレンがあります。創設者ルチアーノ・ベネトンが生を受けた場所、トレヴィーゾ県といえばティラミス発祥の地としてもおなじみ。州都のヴェネツィアから30分ほど離れたトレヴィーゾ駅、そこから15分ほど車で走るとポンツァーノ町にたどり着きます。美しい田園風景が広がるこの地に突如、白亜の大きな建物が出現するのは驚きのひとこと。上空からでなくとも、円盤状になっていることがすぐ分かる外観は見る者の想像力をかき立てずにはいられません。
2007年10月にベネトン本社、工場の裏手に開園したこの施設は当時、人口増加とともに教育施設が不足していたことから、町議会がベネトングループと共同で創設。ベネトンで働く従業員と地域住民が利用し、就学前1~6歳までのこども、そして併設の託児所では9~12カ月の乳幼児がここでの日々を過ごしています。つまり、日本の認定こども園のような幼保一元(体)化の施設です。
総面積は約1,900㎡、周囲の風致地区は約5,000㎡とさらに広く、園児たちが毎日おもいっきり遊ぶことが可能。太陽光発電のパネル、床下暖房やハウスダスト駆除のために湿度管理を行う換気システムなど、この近未来的なデザインの印象通り、先進的なテクノロジーを随所に導入。
Photo:MARCO ZANTA
普段の様子は外からはうかがえず、プライバシーが徹底的に守らている園内。中庭には芝生、ウッドデッキ、砂場と異なる自然素材に触れられるよう配慮され、変化に富む設計となっています。 月齢別に各教室がレイアウトされ、食堂も完備。プレイグラウンドにはこどもたちが参加して作り上げた自家菜園まであり、そこで収穫された野菜やフルーツが食卓に上ることもしばしば。
幼児・児童教育研究機関「レッジョ・チルドレン」がコンサルティングで関わり、親御さんや地域住民を交えたワークショップなどが頻繁に開催され、その様子は地元メディアでも時折、報じられています。
クリエイティブなプログラムの数々にパパやママも夢中になっていて、童心に帰っているのが微笑ましいですね。
オフィスとわが子の預け先が近いのは理想的。さらにそこがこどもの創造性を育み、健やかな成長を促すのにふさわしい場所ならば、親は安心して仕事に専念できるに違いありません。