HuluやNTTドコモのdビデオなどがビジネスモデルを参照したとされ、ついに日本でも9月2日に上陸となる映像配信サービス最大手のネットフリックス。同社はつい先ごろ無制限の産休制度を導入したことでもおおいに話題となっています(マタニティに比べると日本ではまだパタニティということばはなじみが薄いですね)。こどもを出産したあるいは養子に迎え入れた従業員に対し1年間、それまでの給与を全額支払いながら無制限に休暇を付与するもの。本件をブログでアナウンスした女性Tawni Cranzは入社以来一貫して人事畑を歩み、Chief Talent Officer(日本よりも人材を「タレント」と呼ぶ傾向が強いアメリカならではのポジション)に上り詰めた人物。
ILO(ジュネーブが本拠の国際労働機関)の2014年調査によれば、世界185ヶ国・地域の中で、アメリカとパプア・ニューギニアだけが女性向けの有給育休制度を法律で定めていません。そんなアメリカという国の事情を差し引かなければならない背景は確かにあります。
米メディアのビジネスインサイダーが報じたところによると、先述ネットフリックス、その翌日に発表されたマイクロソフトの新たな育児休暇制度(それまで産休8週間に適用されていた給与満額支給を育児休暇16週のうち8週間分にも拡張)に続きアドビシステムズも同様の制度を発表。アメリカ政府による育休制度への対応に業を煮やし、民間企業が率先してこうした措置を講じなければならいと使命感を持って取り組んでいることが分かります。こちらは、出産する女性は最長で26週の有給休暇取得が可能なほか、家族の病気などでも最大4週間まで、やはり給料を受け取りながら休暇を取得できることが盛り込まれています。
今回、立て続けに各社が打ち出した制度はIT業界を越えてさまざまな企業、国内外に波紋を広げることがじゅうぶんに予想されるところ。
日本は会社が育休中に給料を支払うのではなく、従業員の加入している雇用保険が育児休業給付金としてその生活をサポートするケースが主流。育休を取ることへの心理的な障壁は家計に不安が生じる点にもありますので、日本でもこのような諸制度を自ら取り入れる企業が増えることを願うばかりです。
昨春の給付割合引き上げにより、現状では手取り額としてだいたい8割ほどの賃金を受け取ることができるものの、男性による育児休暇取得率は依然低く、女性に育児と家事そして仕事の負担がのしかかっています。
ちなみに、こちらでは産休・育休の期間と金額が自動で計算できますので気になる方はぜひチェックしてみてください。