小1の壁を社会、会社はどう解決するのか

学童保育に英会話、スイミング、塾のワンストップ対応などバリエーションが

カンコー学生服でおなじみ、菅公学生服(創業はなんと、安政元年※1854年!  社名が学問の神さま、原道真に由来)がこのほど英会話スクールやキッズスポーツ施設を運営する拓人こども未来のフランチャイジーとして、学童保育ビジネスに参入。英会話を実践する「Kids Duo(キッズデュオ)大元」を11月15日、岡山市内に開校します。

同社代表の尾崎 茂氏は次のように語りました。

「女性の社会進出」をしっかりと応援していくことこそが重要だと常々考えておりました。ただ、一言で「女性の社会進出」と言っても、「保育園の待機児童」や「延長保育」、「小学生の授業が終わった後、放課後をどう過ごすかということ」など、多くの子育て世代は様々な問題に直面されています。また一方で国際化が叫ばれて久しく、現在では小学生の英語の教科化やその低学年化も検討されており、英語教育が今まで以上に重要視されております。

英会話のみならず音楽、そろばん、書道、ピアノ、アート&クラフト 、そしてスイミング、バレエ、ダンス、空手と多彩なプログラムを用意するのはティップネス・キッズアフタースクール001l5

習い事保育付きの民間学童保育ウィズダムとの連携という、こちらも異業種間のハイブリッド型ビジネスモデルを展開。賛否は別として、なんと最長22:00までの預かりにも対応しているので緊急時、不測の事態を考えると安心感はあります。

また呉越同舟、競合関係にある企業同士のコラボレーションとして話題なのが、学研ホールディングスと市進ホールディングスが手がけるクランテテ。こちらはモンテッソーリ教育をベースにしたカリキュラムを組み、高級路線を打ち出しています。学習塾最大手の栄光ホールディングスが恵比寿アカデミーガーデンを開所したことに追随した動きですが、考えてみれば塾は学校と補完関係にあるので、自然な流れと受け止めることができます。

 

学童保育は施設、児童数ともに過去最高

保育園の待機児童もさることながら、「小1の壁」 もなかなか深刻。小学校は公立・私立を問わずだいたい16:00までに下校となるのに対し、その後、こどもを預かる学童保育は18:00ぐらいまでが多く、共働き世代の両親はどうやってその時間帯までに迎えに行くかで悩まされます。

全国学童保育連絡協議会によると、学童保育数は2万2096か所、入所児童者数は93万3535人と前年に引き続き過去最高を記録

学童保育(児童福祉法に基づくと、放課後児童健全育成事業)を行う施設は「公設公営」「公設民営」「民設民営」の3タイプ。そのうち半分ほどが自治体により学校や公民館で実施されている公設公営で、残りの半分を上記のような企業、そしてNPO法人や社会福祉法人が指定管理者となって運営にあたっています。

今年の6月に活動開始から5周年を迎えた「放課後NPOアフタースクール」は、中でも精力的にこの問題と向き合っている団体。法人化に先立ち2005年からボランティアとして公民館で週1回の活動がスタート、前年の構想期間から数えると実に10年間にわたり「放課後」のことをひたすら考え続けています。ただ単にこどもを預かるだけではなく、彼ら彼女たちが前のめりになって体験できる何かをとことん追求。今ではプログラムを提供する企業、業種も多岐にわたり、こどもたちが働くことをイメージするきっかけとしても多くの親御さんから期待されています。地域社会、たくさんの市民や町民を巻き込んでの取り組みに「こどもは社会全体で育てていくもの」という昔ながらの知恵、相互扶助の精神が息づいていると言えるでしょう。

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ちなみに、同団体に企業として最初に手を差し伸べたのはApple Japanだったそう。

 

“こどもと出勤”、社員発信の提案を制度化に向けてトライアル

そして、企業自ら社員の「小1の壁」対策に乗り出したユニークケースが、イクメン社長でおなじみ青野慶久氏率いるサイボウズ。同社では試験的な取り組みとして今夏、子連れ出勤の仮運用を開始。「世界中のチームを支援し、チームワークあふれる社会をつくる」という企業理念を掲げコミュニケーションのスピードを重視している同社らしく、今回の導入も企画提案から承認・実施までが速やかに行われました。

今年、小学校1年生となった息子さんがいる女性社員の河合さんの「子連れ出勤が現実的かどうか試してみたいです」という申し出により実現。おなじく来年、小学校にあがる予定の娘さんがいる和泉さんと2人が、1時間~1時間半の道のりを掛けて“家族同伴”出社。通勤の混雑も緩和される、お盆休みの期間に決行されました。

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社員のお子さんがミーティングに堂々参加! とても微笑ましく和む光景です。

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社内のラウンジにパーテーションを立てて、即席オフィスが完成。こどもたちのリラックス感が、打ち解けた雰囲気を物語っていますね。

 

特段、混乱やトラブルは起こらず、チームメンバーからは「(こどもに)癒された」と好意的なとコメントが出たり、前日からそわそわと楽しみにしていたこどもたちも「面白かった」と好評だったりと、まずまずの結果に。

「面白い。うちも連れてこようかな」と経営トップの青野氏がコメントする一方、人事部は「不快に思う社員もいると思いますので、チームの生産性に配慮しながら引き続き議論していきたいと思います」と慎重に見守る声も。トライアルということもあり制度として根付くかは未定ですが、何よりこのような提言が社員の側からしやすい空気があるのは特筆すべきでしょう。

ちなみに、産休・育休中の女性社員はもちろん、自社の無料クラウドサービス、サイボウズLiveをフル活用しているとのことです。総務部と気軽にそして密に連携でき、社会保険や育児休業給付金などのお知らせやもろもろの相談などが随時、受けられるという利点があり、過去の履歴をスムースにさかのぼることができるのも好評なのだそう。

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