女の子は就業率が高くかつ管理職など、より責任のある地位で働く。男の子は積極的に家事を分担し、より家族との時間を大切にする。ワーキングマザーに育てられたこどもが将来、そのようなおとなになる傾向が強いことが判明。ジェンダー研究者でハーバード・ビジネス・スクール教授のKathleen McGinn氏が明らかにしました。Photo:Reuters/Jessica Rinaldi
同校のフォーラムHBS Workingのシニア・エディターCarmen Nobel氏のこどもにとって「働く女性を母に持つ」ことの恩恵という記事によると、Kathleen McGinn氏が中心となり進めた調査は国際的なコンソーシアムISSPが2002年と2012年に実施したFamily and Changing Gender Rolesというかなり大規模の調査から抽出。24カ国の先進国が対象、女性13,326人、 男性18,152人の回答がベースになっています。
生まれてから14歳までの間、母親が働き収入を得ていた女性の回答者に着目。彼女たちの母親が一年に数か月の期間しか働いていない、あるいは週に60時間も働いていたという労働時間はさほど重要ではなく、むしろ母親が家事・育児も仕事もこなすロールモデルになっていたかどうかに調査チームは関心を寄せました。
ワーキングマザーのこどもが男性の場合、母親が働いていた事実がよりその人物の賃金に明らかな影響を及ぼすことは見出されされなかったものの、家事・育児など家族とのふれあいにより多くの時間を取っていることは確認されました。
共働きによって、わが子に寂しい思いをさせているのではないか? じゅうぶんにこどもとコミニュケーションが取れていないのでは?と自責の念に駆られる親たちにとってこの統計結果は福音になるかもしれません。
自分が情熱を傾けることができる仕事に就くことは経済的な理由はもちろん、自身の専門性を高めるうえでも、情緒を安定させるうえでも、そしてこどもの将来にとっても有意義であることがこの調査で証明された。
Kathleen氏はそう振り返り、親が社会で働くとともに家事労働をこなす姿はこどもにとって、男女とも家庭と仕事どちらにも貢献することが大切というサインになっているとも語っています。
内閣府の調査でもフルタイム就業の両親を持つこどものほうが、各国でより多く「親から愛されていると思う」と回答したことが伝えられていますので、母親が働いているこどもは自己肯定感が高いという相関はどうやら成り立ちそうですね。