世界のなかの、日本の女性のおはなし

woman will10月10日(とつきとうかですね)に、グーグルジャパンがロンチしたwoman willがじわじわと話題になっています。

まずは動画を

日本、韓国、インド、インドネシア、タイ、フィリピンそしてオーストラリア。アジア太平洋諸国に住む女性たちを、IT技術によって支援する同名のプロジェクトをローカライズしたもの。

異なる国や地域、性別、経済格差などにより生じる社会の非対称性をはっきりと浮かび上がらせる調査結果の数々。さまざまな局面で意思決定に携わる人、周囲に対して少なからず影響力を持っている人にとって、決して無視できないデータばかりではないでしょうか。特に「働くこと」について日本では女性と男性では見えている景色があまりにも違います。

ITは突き詰めると、小さな声を拡声器にかけたり、出会うはずのない人や集団同士をつなぎ合わせたり、埋もれた価値を最大限に発揮させたり、要するにレバレッジを効かせることがいちばん得意とするところ。

IT業界の尖兵たるグーグルがこのような呼びかけをすること自体に、女性が真の意味で「安心して働ける」社会を求めている機運が高まっていることを実感させます。

同社のエリック・シュミット氏とジョナサン・ローゼンバーグ氏(ふたりとも男性です)による共著『私たちの働き方とマネジメント』には次のような一節があります。少し長いですが引用いたします。

 私たちはそれぞれ、ワーキングマザーと仕事をしたことがある。夕方の数時間、家族と時間を過ごし、子供を寝かしつけるまでは完全に音信不通になるが、午後九時くらいになるとまたメールやチャットを再開するので、彼らが仕事に戻ってきたのがわかる(働く父親もいるが、このパターンが顕著なのはワーキングマザーのほうだ)。彼女たちは働きすぎだろうか? 仕事が多すぎて、家でもやらざるを得ないのか。そうかもしれない。では、仕事のために家族や私生活を犠牲にしているのか? それはどちらとも言えない。彼女たちは自分でライフスタイルを選んだのだ。ときには仕事が多すぎて、他のことを犠牲にしなければならないこともあるが、それを受け入れている。だが午後にオフィスを抜け出して子供をビーチに連れて行ったり、あるいは(こちらのほうが多いが)子供たちをオフィスに呼んでランチやディナーを共にしたりする(グーグルの本社の中庭は、夏の夜になるとファミリーキャンプ場のようだ。たくさんの子供たちが駆け回っていて、その横では両親が美味しい食事に舌鼓を打っている)。極端に忙しい時期は数週間、あるいは数カ月続くこともあるが(とくに創業直後のベンチャーの場合)、永久的に続くことはない。

この問題に対処するには、社員に自由を与えるのが一番だ。社員に遅くまで会社に残ることを強制すべきではない。任された仕事に対する全責任を与えれば、彼らは何としてもそれをやりとげようとするだろう。そのために自由とスペースを与えよう。

この記述と符合するように、日本のグーグルは昨年末から今年の4月にかけて行った調査をもとに“女性が働き続けられない大きな理由”を「場所」と「時間」であると結論づけています。

日本的な従来の働き方がまさに、この「場所」と「時間」を固定的にとらえることを前提としている点、「会社」と「就業時間」に縛られ日本人が生産性を落としている点は多くの識者が指摘するところ。

自由とスペースを与えよう――――なんと甘美な響きなのでしょう…

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